「9月議会・一般質問(前半)」を公開しました!

【質問項目】
30年後を見据えた今後10年間に必要な福岡市の取組みについて(前半)

 

■福岡市でも現実味を帯びる「人口減少」

今回の一般質問、前半では、福岡市および九州の人口が将来どのようになっていくのか、年齢層別にその推移を10年後・30年後の将来予測も含めて確認するとともに、それを踏まえて、現時点で想定される「将来の課題」について確認していきました。

まずは福岡市の人口構成とその予測について尋ねましたが、そこで明らかになったことは、

〇福岡市の人口は、2035年をピークに減少に転じる。
〇福岡市では子ども(15歳未満)の人口、生産年齢人口(15~64歳)ともに既に減少に転じており、今後は一貫して減り続ける。
〇福岡市の高齢者人口は、10年前から一貫して増加しており、10年後には約5万人(高齢化率:24.8%)、30年後には約53.9万人(同:34.3%)に増加する。
〇福岡市の65歳以上の単身高齢世帯は、10年後には約55,000世帯(81,715世帯⇒136,500世帯)増加、30年後には約5万世帯(81,715世帯⇒216,700世帯)増加する。
ということです。

総人口が160万人を突破し、「元気なまち」と称されてきた福岡市ですが、実は、将来を支える子どもの数、そして、今を支える現役世代の数は既に減少のトレンドにあるということです。また、これまで高齢者人口は一貫して増えていることから、本市が負担する社会保障関係費も過去最高を記録しています。そして、このトレンドは今後も変わらない。まずは、しっかりと現実を直視しなければなりません。

また、福岡市にとって、人材面・消費面で支えてきた九州の人口動態は深刻です。質問によると、「九州の人口は、2010年から2020年の10年間で35万人が減少、そして、2020年から2045年の今後25年間ではさらに225万人が減少する」とのこと。少なくとも10年前からは既に人口減少のトレンドに入っており、今後は驚異的なスピードで人口が減っていくという予測です。福岡市は、九州各地から集まってくる若者によって「若いまち」が支えられてきた側面がありますが、九州全体の人口減少により、今後この傾向は急激に鈍化していくことが予想されます。

 

■経済状況から見る「福岡市の元気度」

次に、福岡市の経済状況について、市民一人当たりの所得、および、市民一人当たりの市内総生産について議論していきました。


上のグラフは、『経済センサス』や『市民経済計算』という公式データを拾って、独自に作成した「①九州と福岡市における一人当たり所得の推移」を表したものです。2006年を基準年(100)にしています。これを見ると、九州は11.2%もの伸びを示しているのに対して、福岡市は0.5%の伸びにとどまっています。


また、上のグラフは「②九州(福岡市除く)と福岡市における一人当たり域内総生産額の推移」を表したグラフです。こちらも2006年を基準年(100)にしています。これを見ると、福岡市を除く九州エリアではプラス12.8%となっている一方で、福岡市はなんとマイナス1.6%となっています。

これらの統計データから言えることとして、一人当たり所得については、その絶対額は九州よりも大きいものの、その伸び率については九州全体の方が福岡市よりもはるかに大きいことが分かります。また、本市の市内総生産額は人口増に支えられて拡大基調にあり、一人当たり総生産額を見ても、その絶対額は九州よりも大きいことも分かります。しかし、一人当たり総生産額の伸び率で言えば、九州他地域の方が大きい伸びを示しているのに対して、福岡市はむしろ減少しているわけです。


次に、上のグラフは「③政令市における一人当たり市民所得の推移」について、上位8都市(大阪市・名古屋市・川崎市・横浜市・広島市・福岡市・神戸市・仙台市)をグラフにしたものです。数字が取れる2006年から2018年までを集計したものですが、これを見る限り、「福岡市は2007年をピークに減少し、その後増減はあるものの、未だ2007年水準に戻っていない」、「かつては横浜市・広島市よりも上位にあったが、近年は当該2都市に追い抜かれて6番目になっている」、「市民所得の増加率で言えば、下位にある神戸市・仙台市の伸び率の方が高い」といった点が指摘できます。


さらに、上のグラフは「④政令市一人当たり市民所得の増減率」について、2006年を基準年として、比較可能な政令市15都市を並べたものです。これを見ると、先ほど例示した仙台市(+13.6%)、堺市(+12%)、神戸市(+8.9%)に遠く及ばす、11番目に福岡市(+0.5%)が、かろうじてプラスで出てくるという状況です。福岡市民一人当たりの所得を見たとき、先ほどの質問における指摘と併せて言えば、その実態は本市が言う「全国的にも元気があるまち」とはかけ離れたものではないでしょうか。


統計データに関して最後に、『平成30年度福岡市民経済計算』から抜粋した数字を取り上げました。上のグラフは、2006年から2018年までの、「⑤福岡市の総人口、市内就業者数、市民就業者数の推移」を示したものです。市内就業者数とは「居住地を問わず、福岡市で就業している者の数」、市民就業者数とは「就業地を問わず、福岡市に住んでいる就業者の数」と理解できると思います。そこで、このグラフを見ると、この13年間で総人口は約16万5000人も増えているにもかかわらず、市内就業者数は144人しか増えていません。また、市民就業者数は約1万8000人増えていますが、総人口の増と比較すると約1割程度の増です。

この2つの就業者数に関する数字の変化を見る限り、「福岡市内の就業マーケットが飽和状態にある(=市内に仕事が無い)」、「その結果、福岡市民は市外での就労を求めている」ということが指摘できるのではないかと思います。

 

これらの統計データから言えることは、福岡市は人口増に支えられて、何となく総量では勢いがあるように見えるが、一人ひとりの実入りに目を向けると、必ずしもそうではない、ということ。

「実は福岡市は言うほど元気なまちではない」

今後の福岡市の経済政策の方向性を語る議論の出発点として、この点は強く認識すべき点を主張しましたが、福岡市は明確な答弁を行いませんでした。最後までこのことを認めなかったということです。

 

質問の後半では、このような「等身大の福岡市の姿」をもとに、今後10年間で取り組むべき福岡市に必要な施策について提案しました(※次回に続く)。