令和5年6月定例会・一般質問

6月定例議会・一般質問

市長選公約について

~高島市長に「福岡市の将来ビジョン」を問う!~

■市長は将来、どんな「まちづくり」をしたいのか?

■私が考える「福岡市の将来ビジョン」を提案!

■「ビジョンなき市長」に対して、会派一丸となって提案していきます!


■市長は将来、どんな「まちづくり」をしたいのか?

改選後、5期目となって最初の質問項目は『市長選公約について』です。高島市長は常々、「福岡市の将来ビジョンは皆さんの声に耳を傾けながらつくっていきたい」という旨の発言をしています。今後10年間の取組みを検討していく上で、「多くの市民の声に耳を傾ける」ということは確かに大事なことだと思いますが、一方で、昨年の市長選挙を経験した私からすると、「そもそも市長自身が考える福岡市の将来像とはどのようなものなのか?」という点が、今に至るまであまり語られてこなかったのではないか、という感も強くしてきました。経済・交通・まちづくりなど、様々な分野でどのような将来像を描き、その実現に向けて、具体的にどのような取り組みを進めていきたいと考えているのか、ということがなかなか分かりづらいということです。

そこで、今回の質問では、高島市長が先の市長選挙において掲げた「特に力を入れる6つの政策」のうち、(1)未来の福岡に向けた交通環境づくり、(2)経済復活「取りもどせ元気!」、(3)エリアごとの個性を活かしたまちづくり、の3項目について、私自身が抱く現状認識と将来イメージを伝えながら、高島市長の考えに触れていきました。

■私が考える「福岡市の将来ビジョン」を提案!

(1)未来の福岡に向けた交通環境づくりに関して

〇30年後の本市の未来というのは、都心エリアにおいては、車道を全面的に歩行者空間として再整備することで、安心、安全で人のにぎわいあふれる天神・博多エリアが実現している。生活圏から都心部への移動については、鉄道や駅へのスムーズなアクセス、専用レーンを走るBRTの導入により自家用車が要らない「車レス」な通勤・通学が実現している。そして、生活圏においては、誰もが行きたい場所へ安全かつ快適に移動可能、自動運転とAI技術の向上により移動が困難な人がいつでもどこでも気軽に移動できる環境が実現している。このような未来を創造すべきである。

〇特に、都心の交通渋滞慢性的な課題である。人流と物流を更に盛んにするためには、天神・博多に車で来なくても快適に移動できる新たな都心の交通手段を確立し、郊外からの路線バスや電車などと効率的に接続するといった、骨太な都市交通計画を打ち出す必要がある。具体的には、天神~博多駅~ウォーターフロント~市民会館を環境に優しい「都心循環LRT(=次世代型路面電車)」で結ぶとともに、路線バスの折り返し運行やパーク・アンド・ライドを促進するためのインフラ整備を計画する。また、車を減らした都心部では、グリーンスローモビリティをはじめとした新たな交通手段の導入、歩行者天国の恒常的な実施など、市民にとっても来街者にとっても楽しく快適な歩行空間を実現していくべき。

(2)経済復活「取りもどせ元気!」に関して

〇経済政策を進める上で重要な点は、今後の人口動態と本市の産業構造をしっかりと踏まえた議論を進めなければならない、ということである。本市の人口は2035年をピークに減少に転じることが予測されており、福岡市の経済を人材面、消費面で支えてきた九州の人口減は驚異的なスピードで進むということも明らかになってきた。深刻なペースで進む我が国の人口減少の状況を踏まえた、新たな政策展開が必要である。

〇掲げるべき政策指針の一つは、これまでの「内需依存型」から「域外・海外への販路開拓・拡大型」へ重心を大きくシフトさせていくということ。事業規模の大小や商材の如何を問わず、市内のあらゆる事業者が提供する財、サービスを、全国はもとより、アジアを中心として世界に購入してもらうための仕組みづくり、これを施策の柱に据えて、その仕組みを本市が中心となってつくり上げるということである。特に中小零細企業にとって域外、海外に商材を売り込むというのはハードルが高い。自治体によっては数年前から「地域商社」機能を立ち上げて、食を中心に海外販路を開拓するという動きはあるが、その動きに関わっている事業者はほんの一握りである。この取組を施策の中心に据えるために、今後は、商社をはじめとする民間企業への呼びかけはもちろん、国に対する粘り強い支援要請や提言活動が必要である。

 

(3)エリアごとの個性を活かしたまちづくりに関して

〇これまでの市政には、少なからず都心部偏重の空気感が付きまとっており、この点は改めなければならない。地域の商店街では、閉じたままのシャッターが目立ち、ビルが新しく建て替わるたびに、櫛の歯が抜けるように1階のテナントが姿を消している。「生活圏における都市活力の向上」にこそ、まず目を向けていく必要がある。そのためにも、生活圏における地域商業機能の維持という観点から、まちなみ実態調査を行うとともに、地域商業機能の空洞化を避けるために、駅前や目抜き通り、地域商店街においては、容積率を制限・緩和することで1階部分のテナントスペースを維持する取り組みが必要である。

〇一方で、天神・博多エリアの再開発を今のまま進めると、リトル東京、オフィス過多の没個性的な街並みになることが危惧される。これまでの都心部開発は、いわば「グランドデザインなきオフィスビル建て替え」である。今後は、都心部におけるグランドデザインを策定し、建て替え事業者との協議を通じて、オフィスに限らず、文化芸術活動の拠点となるホール機能や、人々の交流、学びの場など、市民生活の向上に資する財産としての活用を進め、「潤いのある都心部」を形成していくべき。本市独特の個性的なまちづくりを進めるために、いま進められている天神・博多エリアの再開発については、一度立ち止まって「都心部のグランドデザイン」を明確に描くとともに、そのグランドデザインに沿って、容積率ボーナスの付与の仕方を見直すなど、制度を再設計する必要がある。

■「ビジョンなき市長」に対して、会派一丸となって提案していきます!

以上、私の抱いている「福岡市の将来ビジョン」を示したうえで、市長に対して「これら提案についてどう思うか?」と問うと同時に、「そもそも市長はどんな将来ビジョンを持っているのか?」と尋ねましたが、残念ながら、明確なビジョンとリーダーシップを感じさせる答弁は皆無でした。

今年度から新たな「福岡市基本計画」の策定に向けた取り組みがスタートし、次年度からは、その中身についての議論が本格化します。今回の質問で私が提案した内容を全て実現しようと思えば、地域住民はもとより、様々な企業や団体まで含めて、市民の英知を結集する必要があります。そのためにも、首長以下、行政が強力なリーダーシップを発揮し、財政面・制度面の両方で本市がその「呼び水」を与えていかなければなりません。

今回の質問で開陳した提案内容を実現するために、会派一丸となって論戦に臨んでまいります。引き続き、田中しんすけの議会での取り組みにご注目ください。