令和3年6月定例会・一般質問
一般質問に登壇しました!
(1)幹線道路沿いの1階テナントスペースが減少傾向に!?
~「地域商業機能の空洞化」を避けるための対策を訴える~
(2)市民にとって「まちづくり」をもっと身近なものに!
~地区計画や景観協定を市民がつくる手助けを~
(3)マンション建設紛争、これ以上増やさないために!
~条例改正と建築協定の2本柱で住環境を守る~
(1)幹線道路沿いの1階テナントスペースが減少傾向に!?
~「地域商業機能の空洞化」を避けるための対策を訴える~
最近気になる「1階店舗スペースの減少」
商店街の不安をきっかけに議会での質問へ
私の地元である平尾地域において、「高宮通り」と「山荘通り」という2つの幹線道路沿いは都市計画で言うところの「商業地域」に指定されています。そのため、通り沿いには飲食店や小売店が立ち並び、そのこと自体がまちに賑わいを与えてきたエリアでもあります。
しかし近年、幹線道路沿いの老朽化した複数のテナントビルがまとめられ、その跡地が「1階に店舗スペースを有しないマンション」になるという事例が散見されるようになりました。例えば、写真は2年前と現在の高宮通りのある区画の様子を比べたものですが、この間にテナントビル4棟が解体され、合計6店舗が移転・閉店を余儀なくされています。
このような動きが加速すると、
①従前あった1階テナントスペースが減少するだけでなく、
②今後もその場所に出店することが物理的に不可能になり、
③それに伴い店舗数が減少し、
④次第にまちの賑わいや人流も減ってしまう
ということが予想されます。特に商店関係者の方々からは、「せめて表通りに面する土地にはお店が入れるスペースを確保してほしいのだけれども…」というお声も多く耳にするようになりました。
そこで今回の議会質問においては、このような地域商店主の声をもとに『地域拠点等の商業機能の維持について』というタイトルで、通り沿いにテナントビルの建設を誘導する方策の必要性を訴えました。
福岡市でも将来に懸念される
「商業機能の空洞化」問題
しかも最近は、分譲マンションのみならず、賃貸マンションであっても1階テナントスペースを持たない作りになっていることが気になります。私は、この要因として「事業性の問題」がその大部分を占めているものと認識しています。現在の土地利用規制の状況では、より大きな土地を集めてマンションにした方が「事業性は高い」、裏を返せば、1階にテナントスペースを設けると、分譲であれば売りづらく、賃貸であれば駐車場にした方がいい)」ということです。これは民間事業者からすれば当然の経営判断なのですが、私は、
このままの状況を放置しておけば、都心部に近接しながらも独特の商店景観を形成してきた地区や駅周辺のテナントビルが、1階に店舗スペースを持たないマンションに次々と置き換わることで「地域商業機能の空洞化」が進行するのではないか
と大変心配しています。本市においても何らかの対策が必要だと考えます。
商業地域に「容積率規制」を導入し、
1階店舗スペースの設置を誘導すべき!
実は、同じ政令指定都市である神戸市においても、商業地域でのテナントスペース確保を目的として、商業エリアにおける住宅建設を制限するという条例改正を2019年に行なっています。その内容は、
商業地域内の指定地区においては、容積率400%~800%であっても、住宅の部分の容積率を400%までに制限する
というもの。そうすることにより、ビル建設事業者にとっては、単に住宅用マンションを建てるよりもテナントスペースを確保した方が割に合うということになります。
本市においてもこのような容積率規制を導入すべきと訴えましたが、当局からの答弁は「今後ともまちの動向も注視していく」という内容にとどまり
ました。私も引き続き通りの変化を注視しながら、この問題に取り組んでいきたいと思います。
(2)市民にとって「まちづくり」をもっと身近なものに!
~地区計画や景観協定を市民がつくる手助けを~
ご存じですか?「まちづくりルール提案制度」
建物を建てるとき、その地域に定められた「まちづくりルール」により、高さ・形状・色合いなど様々な制限を受けることになります。このルールを行政は「用途地域」「地区計画」といった名称で定めているのですが、実はこの「まちづくりルール」、
地域住民の意思により自分たちで決められる(=「まちづくり提案制度」)
ということは意外と知られていません。
代表的なものとして、地区計画や建築協定、景観協定といった「まちづくりルール」は住民が発意して定めることが可能で、福岡市もこのような住民主体のまちづくりグループに対して、
①活動資金の助成、②アドバイザーの派遣、③素案作成のアドバイス
など、様々な支援を行なっています。
「住民発意のまちづくり」を盛り上げよう!
ところが、本市においてはこの「まちづくり提案制度」がほとんど活用されていないのが実態です。例えば、地区計画は全市133か所のうち市民の提案によるものはたったの1か所、景観協定は全市4か所(いずれも東区アイランドシティ内)しかない上、これらはいずれも開発事業者が提案したものです。
今回の質問では、この制度が住民にとって複雑かつ難解で「敷居が高い」ものになっており、実際にはなかなか活用されていない点を指摘。併せて、地域住民のまちづくりに対する機運を高めるために、
住民にとって「まちづくりはもっと身近なものである」と実感してもらえるような取り組み
が必要であると主張しました。
(3)マンション建設紛争、これ以上増やさないために!
~条例改正と建築協定の2本柱で住環境を守る~
地域住民に寄り添った条例改正を!
私もこれまで幾つものマンション建設にかかる地域住民からの相談を受けてきましたが、本市においてマンション紛争が起こる大きな要因の一つに、「マンション建築事業者が地域住民に対して丁寧な説明を行わない」ことが挙げられると思います。
今回の議会質問では、
①中高層の建物を建設する際に事業構想の段階で市への届け出を事業者に義務付けたり、②地元説明会の議事録作成や確認、本市への提出を義務化したりする
など、地域住民に寄り添った制度改正を行うべきと訴えました。これに対して当局からは、
「マンション建設にかかる紛争については当事者間の理解と話し合いを促進していきながら、今後はより効果的な制度となるよう研究していく」
という前向きな答弁を得ました。
事前の取組みとして「建築協定」の締結を!
私が市議としての活動を始めて14年が経ちましたが、その間でも最も多く寄せられた相談の一つに「ワンルームマンション建設」に関するものが挙げられます。その中には、結果として建設計画の断念にまで至ったものもありますが、そのようなケースは稀であり、実際には「微細な計画変更」にとどまることがほとんどでした。
その際に、往々にしてマンション建設反対運動に携わった方々から聞かれるのは「自分たちの地域でも建築協定を結んでいたら…」という後悔の声です。福岡市『マンション紛争の予防に関する条例』にもまだまだ改善の余地はあるものの、
「自分たちの住環境は自分たちで守る」という意識のもと、建築協定の締結に向けた自発的な話し合いを前もって進めていく
ことが一番の近道ではないかと考えています。