令和2年代表質疑(2020年3月10日登壇)

 私は福岡市民クラブを代表して、令和2年度当初予算案並びに諸議案に関連し、新年度の市政運営に臨む高島市長のお考えを質していくとともに、私たちが目指す本市のまちづくりについて提案してまいります。

 私たち福岡市民クラブは、社会・経済情勢が今後も激しく変化する中においても将来のあるべき姿を展望し、「生活保障戦略」・「成長戦略」・「地域主権戦略」・「共生戦略」の4つを大きな柱として、福岡市政の改革に必要な取り組みを『会派基本政策2019』として取りまとめ、2019年2月に公表しました。
 この4つの戦略は、それぞれ相互に関係性を持ったものです。市民の暮らしを守る「生活保障に必要な施策」に充当するための財源を、本市の特性を踏まえた成長戦略で新たに生み出す。そして、生み出されたその財源を地域主権戦略の観点から、これまで以上に市民の声を反映させる仕組みの下で分配していく。さらに、これらの健全な循環を支えるため、市民の力を高め合い、認め合うために必要な公共基盤の強化、すなわち、「共生戦略」関連施策の推進を図っていく、という都市経営理念に支えられています。
それぞれの戦略は複数の項目・施策から成り立っており、本市の発展にとってはどれ一つ欠かすことのできない施策です。以下、それぞれの戦略に基づき質疑を行なってまいりますので、前向きな答弁をよろしくお願い申し上げます。

 具体的な提案に入る前に、我が国の令和2年度予算および経済の概況を確認しておきたいと思います。
まず、令和2年度の国の当初予算案では、歳出の大枠約102.7兆円、新規国債発行額約32.6兆円となっており、既に決定済みの補正予算と合計すれば、107兆円という内容であります。消費税引き上げ等による税収増が3.3兆円あったものの、国債発行額は前年度比で約1兆円の減少にとどまり、国と地方の負債累計が既に1,125兆円にものぼることも鑑みると、いまだ財政健全化の兆しが見えません。
また、日本経済の状況について、政府は令和2年度予算編成の基本的考え方の中で、「アベノミクスの推進により、デフレではない状況を作り出す中で我が国経済は長期にわたる回復を持続させており、GDPは名目・実質ともに過去最大規模に達した」と評価し、経済の先行きについても、消費税率引き上げや米中貿易摩擦などの下方リスクはあるものの「緩やかな回復が続くことが期待される」という見通しの下、経済成長率については名目GDPを570.2兆円と前年比1.7%のプラスを見込んでいます。
しかし、内閣府より直近に発表された四半期別GDP速報によると、2019年10-12月期のGDP成長率は、実質で年率▲6.3%、名目でも▲4.9%という結果であり、5四半期ぶりのマイナス成長となりました。消費税10%への引き上げが国民生活に与えている打撃の大きさが数字でも裏付けられています。
加えて、これまで景気回復が続いてきたと言いながら、実は働く人々の可処分所得は一向に増えていないという現実を直視しなければなりません。昨年発表された経済協力開発機構の統計によると、時間あたりでみた日本人の賃金が過去21年間で8%強も減り、先進国中で唯一マイナスとなっていることが明らかになりました。企業が人件費を抑制しているのが主な要因と言われていますが、わが国で長く続いているこの「働けど働けど賃金低迷」という状況が、国民の消費をさらに冷え込ませるという悪循環を招いています。さらに、賃金低迷は現役世代の困窮を招くだけでなく、年金の支給額の低下をはじめ、現行の社会保障制度に大きな影響を与えることは必至であります。働く人々の賃金を今後どのように向上させていくのか、まさに国難を脱するための対策が急務であると言えるでしょう。
 このような国レベルにおける大変厳しい社会経済情勢を踏まえると、我が福岡市においては、市民の暮らしを守るためのきめ細かな施策展開が不可欠であります。そこでまずお尋ねしますが、本市の新年度予算を編成する上での基本的な考え方についてお示しください。併せて、直近の予算と比較して、新年度予算の歳入面と歳出面における、それぞれの特徴についてお答えください。

 次に、本市の財政運営についてであります。
 福岡市人口推計によると、本市の人口は本年2月1日時点で159万6180人、これまでの将来人口推計よりも8年前倒しで160万人を突破すると言われており、今後も2035年までの15年間は人口が増え続けると予測されています。このような人口増に伴い、個人市民税の増、あるいは施策の成果によっては、法人市民税や固定資産税の増も予想されるところですが、扶助費などの義務的経費が増加傾向にあることに変わりはなく、依然厳しい財政状況が続いております。本市の市債発行の状況を見ると、令和2年度予算案では、臨時財政対策債280億円を含めた新規市債発行額は総額775億円、昨年度当初と比べて7億円の増であり、ここ10年間のうちでも最大級の金額となりました。その結果、本市の市債残高は、昨年度と比較して454億円減少するとは言え、全会計合わせて1兆9933億円となり、未だ高い水準を保ったままであります。また、債務負担行為残高については、一般会計と特別会計を見るだけでも、今年度に新たに161億円が積み上げられ、本市の債務負担残高は令和2年度末には851億円となる見込みです。依然として今後の財政運営が危ぶまれる状況ではありますが、このように財政状況が楽観できない中、どのような手法で将来負担を縮減し、持続可能な財政運営に取り組まれようとしているのか、市長の御所見をお伺いいたします。

 次に、本市の人口動態について指摘しておきたいと思います。
 先ほど、本市の人口は今年のうちにも160万人を突破する勢いで増加している点について触れました。しかし、この「福岡市の人口が増えている」という事実について、改めてその中身について詳しく見てみると、税収増につながる要素だけではなく、①65歳以上の転入超過により歳出増に大きくつながる要素も含まれていること、そして、②福岡市の経済を支える現役ファミリー世代についてはむしろ逆に転出超過につながる要素も含まれていることを指摘することができます。福岡市が元気なまちと高く評価をされ、成長を続けることは大変重要なことですが、福岡市の成長が著しいことによって、現役ファミリー世代が住みやすいまちを求めて市外に移り住んでいくこと、また、成長するが故に住みたい地域に住めなくなること、こうした傾向について本市は強く認識しておくべきです。そこでお尋ねしますが、雇用の確保はもちろんのこと、少子化対策、子育て支援、教育環境の充実、晩婚化対策など、負担感が大きいとされる「現役世代」を本市につなぎとめるための施策について、様々な視点から展開していく必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 総括的な質問としては最後に、新型コロナウィルスに関する本市の対応についてお尋ねします。
2月20日未明、福岡市においても新型コロナウィルス感染症患者が確認されました。現時点ではそれ以上の感染者は確認されていないようですが、これ以上感染を拡大させないためにも、本市は市民に対して確実な情報提供を行い、的確な措置を講じるのは当然ですが、同時に必要以上に危機感を煽るのは市民生活に多大な影響を及ぼすだけでなく、他都市で報告されている差別事案の懸念もあります。また、風評被害などの結果、観光客が減少することに伴う市民の経済的損失への対策に加えて、ゲートウェイ福岡として、これ以上の拡散を防止するための役割が求められています。
今後、福岡市内において感染者が加速度的に拡大する可能性も否定できず、患者の受入れ体制や救急搬送体制の整備に加え、医療従事者や消防職員への感染防止策に疎漏があってはいけません。そこでお尋ねします。本市においては、感染者確認以前から「福岡市感染症危機管理対策本部」が設置され、感染者が発症した場合の対策を講じられてきているとは思いますが、実際に本市で感染者が確認された現在、どのような対応を取られているのか、いま述べたそれぞれの点について具体的にお示しください。

 さて、ここからは、わが会派が掲げる政策集『会派基本政策2019』に基づき、具体的な政策提案を含めて質疑を行なってまいります。
 はじめに、(1)生活保障戦略(子育て・健康・福祉分野)に関連して質問します。
 一点目は、①子育て・女性の健康づくりの分野についてです。
 乳幼児の人格形成にとって最も大切なことは、深い愛情に包まれた養育です。近年、社会状況の著しい変化に応じて女性の就労比率が高まる中で、安心して子どもを産み育てることができる環境整備に向けた不断の取り組みが求められています。以下、最適な子育ての社会的条件、愛情あふれる子育て環境づくりに関する施策について伺ってまいります。
 まず、子どもの権利保障について、子どもの権利を尊重する社会づくりを推進するために、「子どもの権利条例」を制定することが重要であります。その上で、いじめや虐待をはじめ、子どもの心身に被害を及ぼすあらゆる人権侵害の相談を受け、必要に応じて、助言・調整・調査・勧告などを行なう第三者機関を設置するなど具体的な施策を展開していくべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 幼児教育・保育の無償化の実施に伴う諸課題の解決について、入所を希望するすべての子どもに公平な事業となるように取り組みを進めることが重要です。福岡市の独自財源により、副食費の個別負担の軽減に努めるとともに、複雑化する事務手続きについて本市が責任をもって対応すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、保育サービスの充実と質の確保については、0歳から2歳の保育ニーズの急増を踏まえ、企業主導型保育事業における地域枠の拡大も含め、待機児童の解消に努めるとともに、低所得者層の保育料負担の軽減をはかること。さらに、保育士の人材確保に向けて、非正規保育士への家賃補助や奨学金返済支援の拡充など、処遇改善施策を講じるとともに、潜在保育士の発掘・育成支援の仕組みを構築することも課題です。加えて、保育士の「働き方改善」や正規化を促進するための支援策の拡充も必要だと考えますが、併せてご所見をお伺いいたします。
 子ども医療費助成の拡充については、子育て世帯の負担軽減を図るため、通院に係る費用について助成対象の学年を拡大するとともに、3歳以上 6歳未満の通院医療費の自己負担について軽減に向けた見直しを図る必要があると考えます。同時に、当該制度における県からの補助率について、他の一般市町村と格差が生じないよう引き続き県に要望し、格差解消を目指すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 児童虐待の防止については、児童虐待防止を担う児童福祉司や児童心理司などの専門職を増員するとともに、地域からの情報が集まる区役所へ児童福祉司経験者などの専門職を配置するなど、地域との連携を強化することに加えて、面前DVによる心理的虐待から一刻も早く子どもを救うため、DV相談窓口と「えがお館」の連携を一層強化することが重要です。また、歯科・外科・小児科などの医療機関と連携し、虐待の早期発見へとつながるよう児童虐待防止医療ネットワーク事業の充実を図るとともに、乳幼児健診については、その後の治療・指導へとつなげるなど、連続性のある施策として発展させることが重要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 女性の健康づくりの推進については、乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポン券制度について、制度の認知拡大と利用率の向上を図ることが重要です。さらに、ワークライフバランスの推進については、本市男性職員の育児休業取得率を向上させる施策を実施するとともに、ワークライフバランスを推進する民間事業者への支援を強化すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 安心・安全な学童保育について、入会児童の増加に対応するため、施設の増改築を行うとともに、主任支援員が子どもと関わる時間を確保するため、事務負担の軽減を図ること。また、放課後等の遊び場づくりについては、学校や地域と十分な協議を行ないながら、「放課後等の遊び場づくり事業」の全小学校実施を実現すべきだと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。

 二点目は、②高齢者福祉の分野についてです。
 いつまでも健康で元気に暮らしていきたい、できる限り住み慣れた自宅や地域で暮らし続けたい。これは、市民の誰もが抱いている共通の願いです。そのためには、お年寄りの運動や外出を促進するとともに、家族構成や健康状態に応じたきめ細かな医療・介護施策を展開していく必要があります。以下、誰もが健康で豊かさを感じながら生きていける 高齢社会の実現に向けて、必要な施策について伺ってまいります。
 まず、元気高齢者まちづくりの推進について、市民の「健康寿命」を延ばすために、定期検診の受診を促す取り組みを強化し、受診率の向上を図ることが肝要です。さらに、高齢者の外出機会や社会参加を後押しするため、高齢者乗車券の助成額を増やすとともに、IC カードで利用できる交通機関を拡大すること。併せて、ベンチ設置に応じた民間事業者や個人に対しては固定資産税の減免措置を講じるなど、ニーズの高い場所へのベンチ設置を促すような取り組みを通じて、高齢者の外出をサポートすることが重要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 介護サービスの充実については、医療や介護の連携はもとより、それぞれの地域の諸課題を解決し、高齢者が住み慣れた自宅や地域で安心して暮らせるよう「地域包括ケアシステム」の構築を推進していかなければなりません。また、介護関連事業所の人手不足を解消するために、介護現場の状況把握、デジタル化の促進なども含め、生産性の改善に資する福岡市独自の支援策をあらゆる視点から講じるべきです。さらに、在宅要介護者世帯への支援については、介護関 連器具の提供や本市独自の財政支援を行なう必要があると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 認知症サポート体制の強化について、地域包括支援センターの増設や相談員の増員、民間のケアプランセンターとの連携強化など、認知症相談体制の充実を図ることが重要です。また、地域におけるユマニチュードの普及や認知症サポーター養成の推進など、個人差もあり様々な症状が発生する「認知症」そのものに対する理解を深める取り組みを充実させるとともに、家族が心身ともに安らげる場の提供に努めるべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 単身高齢者に対する住宅支援の拡充については、高齢者世帯特有の住み替えニーズを捉え、家賃助成の実施や住替え費用の助成の拡充をはじめ、高齢者が安心して住まえる環境づくりにあらゆる視点から取り組むべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 三点目は、③暮らしと雇用を支える分野についてです。
 働きがいをもって働き収入を得ること、社会の一員として居場所があることは、幸福の大きな要素です。働きやすい環境整備は、社会保障の安定的な供給、および本市の持続的な成長を担保する重要な政策分野の一つです。私たちは、若年層の不安定な雇用環境の改善や、仕事と家庭を両立できる職場環境の整備、また、高齢者や障がい者が生きがいを感じて働き続けられる雇用の場の創出に向けて、以下質問してまいります。
 まず、安心できる労働環境の整備については、いわゆる「ブラック企業」の根絶に向けて、本市独自の労働関係法の順守に関する相談窓口を拡充するとともに、相談内容を的確に関係機関につなぐ体制を構築すること。さらに、非正規労働者の労働環境の整備については、官民問わず、非正規として働く人々がワークルールを正しく理解するための取り組みに加えて、賃金アップや労働条件の改善につながる取り組みを推進すべきです。また、公契約条例の制定について、市が発注する工事や業務においては、適正な労働環境、および事業の品質を確保することを目的とした公契約条例を制定する時期に来ていると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 女性の活躍支援については、子育てや再就職、起業や介護などといった、女性からの相談を受けるワンストップの専門窓口を新設し、女性が活躍の幅を更に広げられるように積極的な支援を行なうとともに、本市の女性役職者の割合を2025年までに20%に向上させるため、あらゆる施策に取り組むことが必要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 障がい者の就労支援施策については、障がいの種類や程度に応じた適切な知識・スキルを獲得できるよう、事業所との連携や指導を強化すべきだと考えます。加えて、福岡市(外郭団体含む)において、法定雇用率を上回る障がい者の雇用を実現するとともに、障がい者を率先して採用する民間事業所を顕彰する制度の導入を検討されてはいかがかと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 再犯防止支援に向けた取り組みの強化について、刑務所や少年院を出た人々に対して社会復帰を支援するために、本市においても「再犯防止推進計画」の策定を急ぐべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 また、ペットと共生するまちづくりについては、ペット関連事業者との関係強化を通じて、ペットをテーマとしたイベント開催を支援するとともに、飼い主に対して適正飼育を奨励する取り組みを強化すべきです。さらに、犬猫の多頭飼育による生活・衛生上の課題に対しては、関係課と動物愛護管理センターが連携して取り組むことが重要だと考えますが、併せてご所見をお伺いいたします。

 次に、(2)成長戦略(経済・産業・まちづくり分野)に基づき質問します。
 一点目は、①グローバルMICEを振興し幅広い人の往来を促す視点からお伺いします。
港を介した国内外からの来訪により都市的繁栄を維持し続けてきた本市は、日本で最も歴史のある港町の一つです。本市の強みを生かしながら、市民生活に配慮した観光施策の強化、来訪者の関心に応える世界的なコンベンションの誘致と、受け入れ機能の強化などの推進が、本市の更なる成長に寄与するものと考えます。これまで以上に世界の人々を惹きつける「賑わい都市づくり」に向けて、以下お尋ねしてまいります。
 はじめに、総合的なMICEの推進について、世界中の政治、経済、文化、芸術、学術など幅広い分野におけるコンベンションの企画・誘致機能を強化するために、MICEの専門組織である「Meeting Place Fukuoka」の体制強化に取り組むべきです。さらに、外国人観光客の利便性向上のため、あらゆる支払い機会に「現金を使用しないで済む(キャッシュレス)」環境づくりを推進するとともに、交通局発行の「はやかけん」などのICカードに代わる滞在期間中に利用可能なキャッシュレス決済の拡大に取り組む必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 舞鶴公園の本格整備について、昨年6月に策定された『セントラルパーク基本計画』を踏まえ、舞鶴公園線沿線エリアの改良により、セントラルパークとしての一体感を早急に実現するとともに、鴻臚館を早期に復元し、太宰府市の歴史資産との連携も見据えたアジアとの交流の歴史を感じさせる体験型イベントやMICEレセプションでの活用を推進すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 宿泊税収の効果的な活用については、新たな税源を活用し、違法民泊の取り締まりや交通渋滞解消など、来訪者の不を解消するとともに、市民生活に配慮した施策に取り組む必要があります。併せて、特別徴収義務者である旅館・ホテル事業者に対する負担軽減策に取り組むとともに、本市の観光振興施策の推進に関する意見交換の機会などを定期的に設ける必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 福岡空港の機能強化について、福岡空港の就航路線に関しては、国内路線を維持しながらアジア路線の拡大を支援し、利用促進に向けた施策を充実させることが都市間競争力の強化につながります。本市には、民間委託後の適正な空港 運営に積極的に関わるとともに、騒音防止対策や周辺整備事業を推進することを強く求めたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 大規模スポーツ大会の充実・誘致について、とりわけ福岡マラソンについては、都心部を走ることが出来るようコース変更を行なうなど、参加者の満足度向上と内容の充実を図ること。また、大規模スポーツ大会の開催時には、スポーツ教室などの出場選手との交流や、大会会場を活用した当該種目の体験機会を設けるなど、子ども達の未来につながる事業を実施すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 二点目は、②人のつながりと先端技術を活かして新しい仕事を生み出し続ける都市を目指すという視点からお伺いいたします。
 「住みやすいまち・福岡で暮らしていきたい」という多くの市民が抱いている願いに応えるためには、新しい仕事や 雇用がほかの土地よりも生まれやすい土壌を作り、それを不断に改善し続けることが求められています。人と人とのつながりが活力やアイデアを生み、そして、先端技術の導入により新たな価値を創造する「創造都市づくり」に向けて、以下お尋ねいたします。
 中小企業に対する人材獲得支援について、地場中小企業の採用活動を支援するため、市内の高校・大学・専門学校や企業との連携を図り、求職中の若者に地元企業の魅力を伝える取り組みを拡充すべきだと考えます。また、新設企業への支援体制の強化について、起業を目指す人々へのサポート体制を拡充するとともに、設立後間もない企業に対して様々な育成支援を行なう必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 世界に通用する食産業の育成については、飲食店や食品加工業者、および食に関する専門学校などの組織化と連携を促し、食分野を本市の基幹産業として育成・支援するとともに、ラーメン・うどん・もつ鍋・水炊きなどといった「福岡の有名な食」をさらに海外へ売り込んでいくために、様々な支援策に取り組むことが重要です。併せて、世界各地からの来訪者の様々な食文化に対応した受け入れ体制の強化に取り組むことが求められていると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 IoTサービスの普及・拡大について、暮らしの利便性向上、および既存産業の効率化を促進するため、様々なIoTサービス提供に関する実証実験をサポートするとともに、新たなサービスを普及させるための支援策を講じる必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 地球温暖化対策の推進については、住宅用エネルギーシステムの導入促進に向けた助成制度を大幅に拡充するとともに、効果的な導入に向けた勉強会や出前講座などの機会を拡充すること。さらに、省エネ対策や気候変動への対策として、住宅窓の複層ガラス設置を促進するための新たな助成制度を創設するともに、遮熱シートや断熱材などの新たな建材に関する助成を検討することが重要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 企業誘致の促進について、立地交付金制度に基づき、地元の更なる正規雇用の創出、および労働環境の向上につながる施策展開を図るとともに、その効果について不断の検証を行なう必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 農業・水産業の振興については、市内で生産された農水産物の消費拡大に向けた施策を推進することが重要です。そのために、市内農水産物の国内外に向けた販路拡大やブランド強化を図るとともに、その加工品販売や飲食店での提供につなげる6次産業化に取り組むこと。また、農業・漁業の担い手を増やすために、技術習得や就業体験の機会を増やすことに加えて、新規就業時の負担軽減を図るべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 林業再生と木材利用の推進については、市内の森林資源の保全を図るとともに、林業を産業として再生させるために、木材の流通環境の整備に向けた支援を実施することが求められています。併せて、公共建築物の木造・木質化を推進するために、今年度策定される木材活用ガイドラインに基づき、公共施設への地域産木材活用を拡大することが重要であると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。

 三点目は、③洗練された空間形成により都市の価値を高めるという視点から質問いたします。
 緑が溢れるスカイラインが整った開放的な街並み。広くて歩きやすい歩道、賑やかで洗練された都市空間。これらを計画的に形成することが、これからの都市の魅力と価値を向上させることにつながると考えます。都心部と生活空間、それぞれのエリアの特性と歴史を踏まえた景観形成を推進し、「品格ある都市づくり」を実現するために必要な取り組みについて、以下お尋ねいたします。
 まず、賑わいと活力あふれる都心部再開発については、とりわけ天神ビッグバンおよび博多コネクティッドに関して、本市が率先して民間企業の力を引き出すための関与・情報提供を行ないながら推進し、品格のある都心部の街並み空間を創出することが重要だと考えます。また、住宅地エリアにおける洗練された街並みの形成について、地域の特性を活かした建築物や景観に関するルール作りを支援し、地域住民が良好な市街地環境を守っていくための取り組みを推進することも併せて重要です。それぞれご所見をお伺いいたします。
 交通対策とネットワークの充実について、天神・博多部における駐車場整備を抑制することで都心部への自動車の流入量を減らし、公共交通への利用転換を促進することが求められています。とりわけ、博多駅~ウォーターフロント~天神の渋滞対策、および新たな交通ネットワークの構築においては、増便したBRTの検証結果などを踏まえるとともに、広く市民の意見を聞きながら議論を進める必要があります。また、市営地下鉄については、地下鉄七隈線沿線のまちづくりや他の交通機関とのネットワークを確立するとともに、JR筑肥線と地下鉄の相互乗り入れについては、割引額の引き上げや割引対象区間の拡大に向け、当該事業者との協議に一層努めることが必要だと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 九大箱崎キャンパス跡地の整備について、スマートシティに関する様々な実証実験から得られた情報を踏まえ、移動や見守り等の新たな公共サービスの提供も含めた快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、アジアを代表する生活・文化の拠点エリア整備を進める必要があります。また、地元の要望をふまえ、緑空間の確保と歴史・文化の継承を加味した「調和がとれたまちづくり」を進めることが重要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 生活交通の充実については、今年度実施の調査を踏まえ、市内にある公共交通不便地における軽減対策として、現行の生活交通条例の見直しや、生活道路を走る「コミュニティバス」の路線数の拡大など、本格的な生活交通確保支援に取り組むべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 賑わい溢れる商店街まちづくりについて、周辺の街並み形成やインフラ整備を含めた「商店街まちづくり計画」の策定を推進し、計画実現に必要な規制緩和や財政支援を行なうといった取り組みが必要です。併せて、商店街内の路面店舗ビルの建て替えが発生する場合は、1階部分を店舗とするよう促す施策を講じ、「商店街のまちづくり」の維持に努めることも重要だと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 緑化・木化の推進については、街路樹や公園などの樹木について、その地区の特性に応じた樹種の選定を行なうとともに、より適正な管理に努めること。また、市が整備する公共物への木材利用を増やすとともに、市内産材を活用した商品の流通を促進するなど、市民が「木の温もり」に触れられる機会を増やすべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 次に、(3)地域主権戦略(自治改革・行政改革分野)に基づき質問します。
 まず、①市民自治の確立に向けた取り組みについてであります。
 幅広い市民の声を吸い上げ、その力を引き出すために、市民団体や一般市民と行政の関係を改めて問い直す時が来ています。また、自治会・町内会等による地域活動を下支えする更なる取り組みが求められています。以下、そのために必要な制度改革や見直しなど、市民の力・地域の力を最大限に引き出せるような施策について提案してまいります。
 はじめに、住民自治の基盤強化については、住民自治支援基本条例を制定し、市民生活を地域で支える自治会・町内会活動の公共性を明確にする必要があります。併せて、団体自治の主体である「市民」の位置づけを明らかにし、地域のことは地域に住む住民で決める「地域主権」を確立するために、自治基本条例を制定すべきだと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 地域活動の担い手づくりについて、地域コミュニティの活動に多様な主体が関われるように、地域の消防団や商店街が地域活動に参加しやすい環境づくりを進めるとともに、若者が地域まちづくりに参画しやすい環境整備の一環として、若者が町内会、自治会との接点を持てるような施策を実施することが重要であると考えますが、併せてご所見をお伺いいたします。
 男女共同参画の推進については、企業や団体など様々な分野で女性が活躍できるよう、各種団体や事業所が主催する女性リーダー養成のための取り組みを支援する必要があります。また、未だ男性優位にある町内会や自治協議会が実在する現状を踏まえ、男女の区別なく地域運営に携われるよう支援するとともに、とりわけ女性地域リーダー育成に取り組むべきと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 NPO団体への支援の拡充について、NPO団体の活動を支援するため、団体情報の調査を通じて現状を把握するとともに、生活向上に寄与する公共事業の担い手として位置づけて連携強化を図ること。併せて、福岡市共働事業提案制度に関する予算を拡充して採択件数を増やすとともに、提案受け付けの際にきめ細かなサポートを行なうなど、更に多くのNPOが参加・連携できるよう施策の充実を図るべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 公民館への行政コンシェルジュの配置については、地域住民が求める多様な行政ニーズを一次的に捌き、相談窓口の提示をするといった「行政コンシェルジュ」を公民館に配置し、来館者の増加を促すとともに、公民館の行政拠点機能を強化するといった取り組みが必要です。ご所見をお伺いいたします。

 二点目は、②市民サービスの最適化に向けた取り組みについてであります。
市民が望む最適なサービスを提供することは、行政の最も大きな役割の一つです。適切な官民の役割分担の推進によるサービス水準の向上と、行政職員の能力・技術を踏まえた適材適所の人材活用が重要です。これまで無かった新しいテクノロジーも活用しながら、市民にとって最適なサービスを生み出せる市役所づくりに向けて、以下質問いたします。
 まず、行政サービスの利便性向上について、スマートフォンやタブレットなどにより「オンラインで手続きを完了できる行政サービス」を拡充し、市民にとっての利便性向上を図ることが重要です。例えば、インターネット通報システムの一層の周知を図るとともに、通報された案件が迅速に対応されるよう各部局との連携を強め、人員体制を強化することが求められています。また、「市政だより」をはじめとする機関紙・誌、ホームページ、各種資料の閲覧機会の拡充など、市民への情報機会や公開内容の更なる充実をはかり透明性を高めることが必要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 区役所・出張所におけるおもてなし向上については、高齢者や障がい者、外国人等、全ての来訪者が安心して利用できるよう、サービス介助士の資格を有する職員を増やすとともに、「やさしい日本語」も含めた多言語表示の案内を充実するなど分かりやすい案内を徹底することに加えて、「おもてなし」の気持ちを持って臨み、待ち時間の短縮やたらい回しを防止するため、ワンストップで手続きが完了する仕組みの拡大に取り組むことが重要だと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 行政職員の適性を活かした配置について、市職員の保有資格や技術、実務経験などをまとめたデータベースを構築し、適材適所の人材活用を図る必要があります。また、会計年度任用職員導入の一方で、単なる正規職員との置き換えにならないよう人員配置と業務との適正化をはかること。非正規職員に対し、正当な評価を行うとともに、研修機会の拡充や、定期的な正規職員への登用機会を創出することが求められていると考えますが、併せてご所見をお伺いいたします。
 公共の役割の明確化について、生活に密着した行政サービスにおいては「公共が責任をもって担う」姿勢を打ち出し、安易な民間委託や指定管理者制度の活用を行なわないような指針作りが求められています。公共サービスを民間に移管する際には、技術の継承という視点を基本に置き、コスト面だけの選定とせず、労働条件全般に関する基準を設け、良好な職場環境の整備を進める企業の参入を促す必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 外郭団体改革の推進について、本市が出資している外郭団体においては、事業・妥当性・効果・団体運営の透明性確保等の視点から、出資割合にかかわらず調査・監査の対象とし、その経営状況を厳格にチェックする必要があります。 また、外郭団体への再就職については、天下り批判に対応するため、募集要項、採用基準、またその給与体系等に関する「厳格な基準」を作成・公表することが求められていると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 期日前投票所の増設については、人が多く集まる大規模商業施設や大学など、有権者にとって利便性の高い場所に期日前投票所を新たに設置し、投票環境の向上を図る必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 最後に、(4)共生戦略(安心と安全・多様性・教育分野)に基づき質問します。
 一点目は、①市民の生命と財産を守る安心・安全なまちづくりに向けた取り組みについてです。
 自然災害から身を守るためには、自助・共助・公助のそれぞれの視点から、様々な防災・減災対策をソフト・ハードの両面から講じていく必要があります。また、地域で安心して日常生活を営んでいくために、近年増え続けている自転車と歩行者による事故を防ぎ、犯罪を抑止するためのインフラを整備していくことも重要です。以下、市民の生命と財産を守る、安心・安全なまちづくりに向けて質問いたします。
 まず、あらゆる災害を見据えたまちの強靭化について、豪雨時の浸水被害を防ぐため、森林の保水能力を高める施策と合わせ、下水道の浸水対策の強化やため池の法面整備、河川の改修・浚渫等に取り組む必要があります。また、上下水道の管渠や給排水施設、道路や橋梁などの公共施設の耐震強化の促進、さらに、地震や台風による電柱の倒壊被害を減じるとともに、快適で歩きやすい道路空間を実現するため、無電柱化を推進することが重要だと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 地域防災力の強化については、地域の自主防災組織が非常時に円滑に機能するよう、「1町内会1防災士」を目指して防災士の育成および避難所運営支援エキスパートの養成に取り組むべきです。また、浸水・河川氾濫・地震といった、それぞれの地域で想定される防災課題に対応した防災訓練の実施に取り組むとともに、発生した災害にふさわしい避難行動を促すため、避難指示・勧告の手法や伝え方を工夫すること。さらには、避難行動要支援者名簿を活用した避難支援体制を各校区で構築するとともに、避難所運営については、地域の実情を知る自治協議会との連携を前提に、運営体制の強化に取り組むことが重要です。加えて、事前の備えや避難所運営等の地域防災の取り組みについては、男女共同参画の視点に基づいて取り組むべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 来訪者も踏まえた防災・減災対策の強化について、災害発生直後の道路寸断による人の移動や物資輸送の混乱を想定し、民間事業所と締結している防災協定の見直しを進めるなど、発送地から受援地までの切れ目のない物資輸送体制の構築を図ることが重要です。併せて、国内外からの来訪者の増加を踏まえ、「寄る辺のない帰宅困難者」への緊急対応策の構築など、天神・博多エリアにおける避難体制の強化に取り組むべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 交通安全の推進については、通学路や駅周辺など歩行者の多い道路の安全確保のため、道路へのハンプ設置をはじめ、屈曲部・狭さく部を設けるための道路改良を実施することが求められています。また、主に通学路において、建築基準法を満たしていないブロック塀の調査を早急に実施し是正を促すとともに、改修にかかる補助を充実させること。自転車通行空間の整備を推進するとともに、市内の小中・高等学校や自転車通勤者の多い事業所において、自転車走行ルールの指導が徹底されるような取り組みを実施すること。さらには、飲酒運転を撲滅するため、民間事業者との連携強化を図り、飲食店や小売店などが「飲酒運転撲滅の店」として力強く宣言できるような環境づくりに取り組むことが重要であると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 防犯対策の強化について、明るく安全なまちづくりを推進するため、自治会・町内会に対して防犯灯のLEDへの切り替えを促すとともに、防犯灯を新設する際の費用負担を軽減すべきです。併せて、学校や商店街など多くの人が集まる場所を中心に防犯カメラの設置状況を把握するとともに、地域のニーズを踏まえた補助制度により設置台数を増やす必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 水道行政については、市民の命と暮らしを守る安心安全な「水」の提供を本市が責任をもって継続するとともに、福岡市の持つ水道技術の継承に引き続き取り組むこと。さらに、老朽化した水道管の更新については、料金収入に影響しない範囲で、スピード感を持って取り組むことがそれぞれ必要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 平和都市「福岡」の発信について、市長が自ら「非核平和都市」を宣言するとともに、姉妹都市や友好都市と市民相互の信頼関係づくりを通じて、平和都市「福岡」の推進に取り組むことが求められています。併せて、福岡市特有の戦争の歴史を踏まえ、命の尊さや平和の大切さを学ぶ場として、恒久的・総合的な平和祈念施設の新設に向けて取り組む必要があると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。

 二点目は、②一人ひとりの尊厳を守る多様性を大事にする社会づくりに向けた取り組みについてです。
 地域で一人ひとりの人権が尊重され、個人の尊厳が守られるためには、それぞれの違いを認め合いながら、対話の機会を増やしていくとともに、身体的・性的な配慮を前提とした「バリアフリーのまちづくり」が不可欠です。社会状況の変化を踏まえながら、一人ひとりの尊厳が守られ、多様性を大事にする社会づくりに向けて以下提案を行なってまいります。
 まず、あらゆる差別の解消については、性に関する差別、子どもの虐待、障がい者差別、外国人に対する差別、同和問題など、様々な人権侵害をなくすため、教育現場や地域、民間事業所への啓発活動に積極的に取り組むことが求められています。また、職場や地域におけるセクハラ・パワハラなどの各種ハラスメントを解消するため、各団体でハラスメント対策が図られるよう支援すること。さらには、民間事業者による障がい者に対する差別的な取り扱いを是正するため、改善事例などの情報提供を行なうとともに、施設改善を促すための補助制度を新たに創設することも喫緊の課題だと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 多様性を認め合うまちづくりについて、福岡市で暮らす外国人がますます増加することを踏まえ、「やさしい日本語」を活用しながら、日本の文化や暮らしのマナー・ルールなどの情報共有をはじめ、地域活動への参加など、市民との交流機会の提供に取り組むことが必要です。また、パートナーシップ宣誓制度の導入を踏まえ、行政サービスの提供に際して、宣誓したカップルが戸籍上の夫婦と同等な取り扱いがなされる機会を増やすとともに、民間サービスにおいても同等な取り扱いの機会が増えるよう積極的に取り組むべきだと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 バリアフリーの推進については、公共施設や交通施設のエレベーター・エスカレーターの増設、生活道路における段差の解消、ノンステップバスのさらなる導入など、子ども、高齢者、障がい者などの弱者に配慮したバリアフリー整備を進める必要があります。また、公共施設をはじめ、駅やターミナルなどの交通施設を中心に、高齢者や視覚障がい者、外国人に配慮した音声案内や点字案内を拡充すること。併せて、多様な性への配慮、および高齢者や障がい者が外出しやすい環境整備という観点から、あらゆる公共施設への多機能トイレ・だれでもトイレの整備に取り組むべきであると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。

 三点目は、③個々の能力と可能性を拡げるAI時代を踏まえた教育・人づくりに向けた取り組みについてです。
 子どもたちが将来、幅広い選択肢をもって自由に生きていくために、教育の果たす役割はとても重要です。しかし、AI時代の到来により世界は激しく変化し続けており、世の中で求められる能力も変わってきています。このような時代の変化をとらえながら、子どもたち一人ひとりの人生に責任を持つ教育の実現に向けて、個々の能力と可能性を拡げる教育カリキュラムの実現、および教育環境の整備に関して質問いたします。
 はじめに、シティズンシップ教育の推進について、小・中・高等学校において「シティズンシップ教育」を推進し、児童生徒が民主主義や政治参加、および働く上での権利・義務や働くことの意義について理解を深める機会を増やす取り組みを求めるとともに、広く市民に政治・経済・社会制度の理解といった「市民性」を高める機会を提供するため、公民館や市民センター、小中学校など身近な会場での学びの機会を増やすなど、生涯学習の環境を充実させる必要があると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 教育に係る保護者の負担軽減については、給食費の無償化や教材費の負担軽減など、義務教育における保護者の経済的負担を軽減するための取り組みが求められています。また、市立高校における教材等の費用負担の軽減、給付型奨学金制度の創設など、高校進学の際に発生する経済的負担の軽減に併せて取り組む必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 きめ細かな教育の実施について、教師が子ども一人ひとりに向き合い、きめ細かな教育を行なうために、35人以下の少人数学級を、小学校5・6年生をはじめ中学3年生まで、段階的に拡大する必要があります。併せて、小中学校における授業について、分割指導等の工夫ができるよう補助教員の配置を拡大するとともに、現行の一斉授業方式に加えて、児童生徒一人一人の状況に合わせた様々な授業手法の導入に努めることが求められていると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 教師が子どもに向き合う時間の確保については、小中学校の教師が子どもたちに向き合う時間を十分に確保できるよう、「福岡市立学校教職員の業務改善のための実施プログラム」に基づき、教師の業務負担の軽減施策を実施するとともに、教職員の増員に取り組むべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 不登校・ひきこもり対策について、市立高校や特別支援学校へのスクールソーシャルワーカーの配置、および小学校への不登校対応教員の配置を拡大するとともに、児童相談所との連携を深め、小中学校の卒業後に不登校・ひきこもりが継続しないよう支援を拡充する必要があります。また、義務教育未修了者に加えて、不登校などにより十分な教育を受けられなかった人など、学び直すことを希望する市民を広く受け入れる夜間中学の新設に取り組むべきだと考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 特別支援教育の拡充については、本市独自に特別支援学級の定数緩和を図ることをはじめ、特別支援教育コーディネーターの専科配置や、日常生活の介助、学習活動上のサポートを行なう学校生活支援員の拡充など、特別支援教育の充実を図るべきです。また、地域の学校への障がい児就学を促進するため、エレベーターの設置や段差の解消、点字案内などバリアフリー化を促進すべきであると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。
 小中学校における教育環境整備の推進について、老朽化や狭隘化の著しい学校の校舎や体育館について、早期に建替え・改修が実施されるよう予算を拡充すべきです。とりわけ、小中学校校舎・体育館の木造化および木質化に向けた計画づくりに着手すること。併せて、本市の小中学校におけるエアコン設置について、普通教室に加えて理科室などの特別教室や給食室への設置を推進するとともに、老朽化したトイレの洋式化に加え、災害発生時の避難所となることも踏まえたマンホールトイレの設置に取り組む必要があります。さらに、情報教育を推進するため、各学校におけるパソコン台数を増やすとともに、電子黒板やタブレット等のICT器材の充実に取り組むべきであると考えますが、それぞれご所見をお伺いいたします。

 これまで令和2年度予算に関して、福岡市民クラブの考え方を述べてまいりました。いずれの視点、施策も福岡市政の発展には欠かせないものであると自負しておりますが、高島市長におかれましては、本日提案させていただいた施策について、積極的に研究、検討を重ね、実施されるよう要望するものであります。
 最後に、とりわけ本年の予算審議にあたっては、先に質問で触れた新型コロナウィルスの全国的な感染拡大が、今後本市に様々な影響を及ぼすであろうことを想定して、常に先手を打っていく姿勢が求められている、その点を共有したいと思います。本市は、政府からの急な要請に応える形で3月2日から市内公立学校の一斉休業に踏み切りました。この政策判断が市民生活に与える影響は既に大きいところですが、児童生徒や保護者、さらには学校関係者、子育て関連事業に関わる方々などに与える今後の影響についても注視していく必要があります。
 これら小中学校の一斉休業のみならず、全国的にもあらゆるイベントが中止、あるいは無観客開催に追い込まれている状況を踏まえると、本市経済が被る打撃は甚大であります。人流についても、速報によると、博多港の今年の1月・2月における外国定期航路の船舶乗降人員数が、前年同期比のおよそ4割に留まるなど、既にその影響が顕在化している面は無視できません。さらに政府は、3月9日より中国・韓国からの入国者に対する規制を強化し、本市においても福岡と韓国プサンとを結ぶ高速船ビートルの3月いっぱいの運休が決まりました。
 このように、既にマイナスの影響が顕在化している点については言うまでもありませんが、今後本市に影響を与えるであろう「潜在的な部分」、加えて「我々が予測もしなかったような影響」にも強く注意を払っておかなければなりません。たとえば、経済活動の縮小に伴い、本市が当てにしている宿泊税の徴収額が見込み通りの金額になるのか、その税収に裏付けられた多くの事業が全て実施できるのか。減収が見込まれるのならば、事業実施の優先順位は誰がどのように付けていくのかなど、論点は多岐にわたります。
 国も現状の課題に対して様々な手立てを講じているところではありますが、私たち市議会はこのような事態を前に、国策・政策の副作用が今後の市民生活へどれだけの影響を与えることになるのか、そのことに敏感になり、いち早くその対策を提起するとともに、市民生活の安定に向けてどれだけ機敏に的確に行動を起こすことができるか、その力量が問われているといっても過言ではありません。
 福岡市民クラブ議員一同は、今任期最初の予算審議に当たり、市民の暮らしに最も近い議会人であるという自負を持ちながら、真摯に議論に参画していく決意を表明し、我が会派の代表質疑を終わります。最後までの御清聴、ありがとうございました。