令和3年度予算議会(討論)

コロナ禍を乗り越えるため様々な支援を!


 

 令和3年度の予算審議にあたり、会派が主張する「福岡市のめざすべき都市像」について、①生活保障(一人ひとりの命と幸せを大切にする社会)、②成長(人と技術の結びつきが新たな価値を生み出す創造都市)、③地域主権(市民が自ら発言し議論し決定する仕組みづくり)、④共生(一人ひとりの生命と尊厳を守り誰もが安心できる共生社会)という4つの視点から様々な政策提案を行ないました。

 とりわけ、今議会ではコロナ禍を乗り越えるための感染防止と経済対策の強化を訴えるとともに、市民が安心してワクチンを接種できる環境づくりや、今後の感染拡大に備えた財源確保と予算執行のあり方にについて提案しました。

 まず、ワクチン接種についてです。
 国のワクチン供給見通しによれば、早ければ4月中にも本市において高齢者を対象とした新型コロナワクチン接種が始まる見込みです。これから具体的な情報提供が行われることになりますが、その際には様々な広報媒体による丁寧な周知説明が不可欠です。また、一般接種が始まった際には、民間企業の協力を得ながら事業所向けの出張接種を計画するなど、集団接種会場の混雑緩和に努めるよう要望しました。

 さらに、ワクチン接種後の副反応の発生状況を見ると、高血圧等の自覚症状が無い方への症状発生が見受けられます。国民健康保険の検診受診率の現状を考えると、健康診断の未受診により基礎疾患(既往症)を自覚されていない方がおられることも想定されることから、ワクチン接種の前に健康診断を受診するよう呼びかけるなど、施策の実効性を高められるような取り組みも併せて要望しました。

 2点目は、市民の暮らしを守るための様々な経済支援策の継続についてです。
 福岡県内における新型コロナウイルスの感染対策に伴う飲食店への営業時間短縮要請が解除されました。本市においても繁華街を中心に人の賑わいが戻りつつありますが、長らく続いた外出自粛や時短要請は市民の暮らしに未だ大きなダメージを与えたままです。経済的に困窮している子育て世帯や単身高齢世帯、学生などへの切れ目のない支援はもちろんのこと、各種助成制度の拡充やプレミアム商品券発行にかかる支援など、幅広い世帯に対して消費を喚起するとともに、家計支出を圧迫しない施策を継続的に実施されるよう要望しました。

 地場中小事業者に対する支援については、再度の急激な感染拡大が生じる事態は別としても、今後は支援金のような一時的なものから、恒常的な事業継続につながる仕組みづくりにシフトしていく必要があります。雇用のシェアリングや資機材の共同購入・共同利用といった、事業者の費用負担を軽減すると同時に労働者にとってもメリットとなるような新たな取り組みを後押しする施策展開を要望しました。

 3点目は、コロナ対策にかかる財源確保と予算執行のあり方についてです。
 令和3年度予算の編成にあたっては、新型コロナウイルス感染症の影響により財政状況が厳しい中にあっても、必要な事業を実施するために年度当初から財政調整基金を積極的に活用するとしています。次年度は243億円の基金残高のうち101億円を取り崩して事業予算に充てることが示されていますが、今後の財政運営に目配りしながらも、いざというときには機を逸することなく財源として活用されるよう求めました。

 また、年度途中に予算の執行残が生じる場合には、目間・節間での流用が認められていることから、長の権限で予算を柔軟に執行することができるとされています。新たな感染の波が押し寄せてきた場合、あるいは想定しなかった状況に直面した場合には、速やかに事業立案を行い、予算を執行するよう要望しました。

 さらに、次年度予算には新型コロナ対策予備費として新規に 20 億円が計上されています。緊急性を伴う事態への想定という面は理解できるものの、その執行については慎重に行なうべきです。予備費の活用についてはその妥当性についての一定のチェックも必要であることから、執行の必要が生じた場合には速やかに議会へ報告されるよう要望しました。